「将来は独立をしたい!でも、どんな事業をすればいいのか…」 創業を決意したものの、具体的な事業内容で立ち止まってしまう方は少なくありません。私も20代半ばの頃は、「30歳までに独立するぞ!」と事業のあてもなく、まずは”独立”ありきで自分のキャリアを描いていました。大きな夢や希望を抱く一方で、この最初の選択が今後の会社の業績や、自身のキャリアを大きく左右するので、言うまでもないですが、とても重要です。今回は、”これから創業者になるの方々”に向けて、後悔しない事業の選び方について、2つの重要な選択基準を軸にご紹介します。それは、「あなたの情熱が活きるか?」そして「ビジネスとして成立するか?」という点です。選択基準1:その事業は、あなたの「経験・好き・得意」を活かせるか?まず考えていただきたいのは、あなた自身とその事業との「相性」です。具体的には、「経験があるか」「心から好きで、得意と言えるか」という点です。1. 経験は最大の武器になるもしあなたが特定の業界や職種で経験を積んできたのであれば、それは事業を始める上で非常に大きなアドバンテージとなります。業界動向の理解:業界の慣習やトレンド、競合の状況などを肌感覚で理解しているため、事業の舵取りがしやすくなります。事業計画の解像度:具体的な数値目標や施策を立てる際、経験に基づいたリアルな計画を描くことができます。人脈の活用:前職で培った人脈が、仕入れ先、販売先、あるいは協力者として活きてくる可能性があります。もちろん、未経験の分野で成功する方もいますが、経験があるに越したことはありません。知識やスキルを活かせる土壌がある方が、事業をスムーズに軌道に乗せやすいのは言うまでもありません。2. 「好き・得意」は困難を乗り越える原動力会社経営は、決して平坦な道ではありません。資金繰りの問題、人材の確保、予期せぬトラブルなど、様々な困難が待ち受けています。そんな時、事業に対する「好き」という気持ちや「得意」という自負は、あなたを支える強力な精神的支柱となります。情熱の持続:本当に好きなことであれば、寝食を忘れて没頭できるほどのエネルギーが湧いてきます。実際に創業時は、週7日、休み時間なしで駆け抜けなければならない時もあります。その情熱は、困難な状況でも諦めずに前へ進む力となるでしょう。モチベーションの維持:興味も関心もない事業では、少し壁にぶつかっただけで「もうやめよう」と心が折れてしまいがちです。しかし、心から「達成したい!」と思える事業であれば、どうすれば乗り越えられるかを真剣に考え、行動し続けることができます。質の高いアウトプット:得意な分野であれば、自然と質の高いサービスや商品を提供できます。それは顧客満足度にも繋がり、事業の成長に貢献します。想像してみてください。毎日、興味のないことに時間と労力を費やすことは非常につらいことです。そして、寝ても覚めてもそのことを考えていられるほど好きなことに打ち込めることは、何よりも喜びです。どちらが長く続き、そして成功に近いかは明らかでしょう。選択基準2:その事業は「ビジネスとして成立」するか?(売上・利益・資金)あなたの情熱が最大限に活かせる事業が見つかったとしても、それだけでは会社を継続させることはできません。次に問うべきは、「その事業はビジネスとして成立するのか?」という現実的な視点です。具体的には、以下の3つのポイントをクリアできるかどうかが重要になります。1. 売上は立つか?どんなに素晴らしいアイデアや商品・サービスも、それを求めている顧客がいなければ売上には繋がりません。市場の存在と規模:その事業がターゲットとする市場は存在するのか、そして十分な規模があるのかを確認しましょう。明確なターゲット顧客:誰に、どのような価値を提供するのかを明確にし、そのターゲット顧客が本当にそれを求めているのかを調査する必要があります。収益モデルの確立:どのようにして売上を上げるのか(商品販売、サービス提供、広告収入など)、具体的な収益モデルを設計しましょう。2. 利益は出るか?売上があったとしても、それ以上に経費がかかっていては赤字となり、事業は立ち行かなくなります。コスト構造の把握:仕入れコスト、人件費、家賃、広告宣伝費など、事業運営に必要なコストを正確に把握しましょう。適正な価格設定:コストをカバーし、かつ顧客が納得する価格設定ができるかが重要です。損益分岐点の理解:どれだけ売上があれば利益が出るのか(損益分岐点)を算出し、それを達成するための現実的な計画を立てる必要があります。3. 資金は足りるか?事業の立ち上げには初期投資が必要ですし、軌道に乗るまでは運転資金も必要です。必要な資金額の見積もり:初期投資として何にいくら必要なのか、毎月の運転資金はどれくらいかを見積もりましょう。自己資金と資金調達:自己資金で賄えるのか、融資や出資など外部からの資金調達が必要なのかを検討し、具体的な計画を立てる必要があります。どんなに好きなことであっても、赤字続きでは精神的にも経済的にも追い詰められてしまいます。5年後、10年後も事業を継続していくためには、しっかりと利益を生み出し、会社を成長させていくというビジネスの基本を忘れてはいけません。「情熱」と「現実」の最大公約数を見つける自問自答事業を選ぶということは、まさにこの「経験・好き・得意(情熱)」と「売上・利益・資金(現実)」という2つの軸が交わる点を見つけ出す作業です。以下の質問を自分自身に投げかけ、深く考えてみてください。情熱について: 過去に最も時間を忘れて没頭したことは何ですか? 他人から「〇〇が得意だね」「〇〇について詳しいね」とよく言われることは何ですか? もしお金の心配がなかったとしても、人生をかけて取り組みたいと思えることは何ですか? 困難に直面しても、この事業なら頑張り続けられそうですか?現実について: その事業で、本当にお客様はお金を払ってくれるでしょうか? 競合はいますか?その中で勝ち残るための独自の強みは何ですか? 現実的に、どれくらいの期間で黒字化できそうですか? 必要な資金を調達できる見込みはありますか?これらの問いに一つ一つ向き合い、客観的なデータや情報も収集しながら検討することで、あなたが本当に取り組むべき事業が自ずと見えてくるはずです。時には、信頼できる第三者に相談し、客観的な意見を聞くことも有効でしょう。まとめ:後悔しない事業選びで、成功への第一歩を事業選びは、創業における最も重要な意思決定の一つです。あなたの内なる情熱と、ビジネスとしての冷静な現実を見極めること。この両輪がバランス良く噛み合ったとき、事業は力強く前進し始めます。焦らず、じっくりと自分自身と向き合い、そして市場を見つめてください。その先に、あなたが心から打ち込め、かつ社会にも貢献できる素晴らしい事業が待っているはずです。あなたの挑戦を心から応援しています。