「朝から晩まで、誰よりも働いているはずなのに、一向に仕事が終わらない…」「本当に重要な、未来のための仕事に手をつける時間がない…」創業経営者の皆さん、こんな風に感じていませんか?「忙しい」が口癖になり、目の前のタスクをこなすだけで一日が終わってしまう。これは、会社の成長にとって非常に危険なサインです。今日のコラムでは、なぜ社長の時間がなくなるのか、そしてその無限ループから抜け出し、社長にしかできない仕事に集中するための「時間創出術」についてお話しします。■ あなたの時間を奪う一番の原因は「あなた自身の考え方」創業期、社長は間違いなく会社で一番のトッププレーヤーです。誰よりも商品知識があり、誰よりも営業ができ、誰よりもお客様のことを考えている。それは当然であり、誇るべきことです。しかし、メンバーが少しずつ増えてきたにも関わらず、そのプレースタイルを変えられないでいると、会社の成長は必ず頭打ちになります。なぜなら、会社のキャパシティが「社長自身のキャパシティ」になってしまうからです。そして、その状況から抜け出せない最大の壁となるのが、社長自身の「マインドセット」にあります。「この仕事は、自分にしかできない」 「メンバーに任せたら、品質が落ちてお客様に迷惑をかけてしまう」 「自分が最初から最後まで管理しないと気が済まない」「まだメンバーには自分の代役は無理だ・・・なかなか成長してくれない」完成度の高いサービスや商品を提供してきた自負があるからこそ、こう考えてしまう気持ちはよく分かります。しかし、この“完璧主義”こそが、あなたの時間を奪い、メンバーの成長機会を奪い、会社の未来を蝕んでいると言えます。■ 「任せる=品質低下」という思い込みを捨てるここで、固く信じてしまっている前提を、一度ひっくり返してみましょう。 「仕事をメンバーに任せること ≠ 品質の低下」です。 むしろ、正しく任せることができれば、「仕事をメンバーに任せること = 品質の向上」に繋がるのです。考えてみてください。あなたがプレイヤーとして現場のタスクに忙殺されている間、誰が全体の品質を管理し、業務プロセスを改善し、より良いサービスを生み出すための仕組みを考えるのでしょうか?あなたが個別の作業から一歩引いて、「監督」や「品質管理者」や「教育担当者」の視点を持つことで、初めて組織全体のパフォーマンスに目を向けることができます。さらに、仕事を任されたメンバーの視点が加わることで、あなた一人では気づけなかった改善点や、新しいアイデアが生まれることも少なくありません。もちろん最初はミスや抜け漏れや完成度の低さが目に付くこともあるかもしれません。ただそれも数か月もすればなくなっていくのが通常です。複数の視点で業務を行うことは、サービスの完成度をかえって高めるのです。仕事を任せることは、手抜きではありません。メンバーを信頼し、組織としてのアウトプットを最大化するための、極めて高度な経営判断と言えます。これが出来るか否かで社長の時間を創出できるか否か、組織がさらに成長していくか否かが変ってきます。■ 「未来を創る時間」を生み出す、任せ方の第一歩とはいえ、いきなり全てを任せるのは難しいでしょう。まずは、比較的簡単な仕事、定型的な業務からで構いません。メンバーに少しずつ仕事を任せていきましょう。その際に最も重要なのは、メンバーの力を信じることです。「どうせできないだろう」ではなく、「仕上げは自分が行うにして、ひとまず任せてみよう!」と考える。そして、最初から100点を求めないことも大事です。70点でアウトプットが出てきたら、まずは「よくやった」と承認し、残りの30点を引き上げるためのフィードバックをする。最初の頃は、その30点は経営者のあなたが補えばいいだけのことです。その繰り返しにより、メンバーを育て、100点をメンバーのみでアウトプットできるようになります。また、仕事を任せられたメンバーは、自分一人で仕事ができるようになったという成長を実感し、またお客様から直接感謝の言葉を受ける機会が増え、やりがいを持って業務に取り組めるようになります。そして何より、そうして生まれた社長の“空白の時間”こそが、会社の未来を創るための最も貴重な資源となるのです。早速あなたのタスクリストの中にある仕事を一つ、勇気を持ってメンバーに任せてみませんか?その小さな一歩が、あなたの時間を生み出し、会社の未来を大きく前進させてくれます。(この記事は6日間連続コラムの3日目です。明日は【集客・営業】「全く売れない…」最初の壁を突破するマーケティング戦略をお届けします。どうぞお楽しみに!)