【はじめに】経営者の皆様、毎日お疲れ様です。事業を成長させるために日々奮闘される中で、「節税」という言葉は非常に魅力的に響くのではないでしょうか。しかし同時に、「何から手をつければいいか分からない」「やりすぎて脱税になったら怖い」といった不安を感じる方も多いはずです。この5日間シリーズの最初に、まずご理解いただきたい大切なことがあります。節税の一番の目的は、単に税金の支払額を減らすことではありません。「法律で認められたルールの中で、会社の支出を最小限に抑え、事業を成長させるために再投資すること」です。初日の今日は、その最も基本となる「経費」について、正しい考え方と具体的な使い方を解説していきます。■ 大原則:節税のために、無駄な経費を使ってはいけない時々、「利益が出そうだから、車でも買って経費を使おう」と考える経営者がいらっしゃいます。これは、節税の目的を完全に見誤っています。例えば、100万円の利益が出たとします。税率が30%なら、支払う税金は30万円。あなたの会社には70万円の現金が残ります。 一方、節税のためにあまり必要とは思えない交際費を100万円支払ったとしましょう。利益はゼロになり、税金もゼロになります。支払う税金は30万円も安く済みました。しかし、あなたの会社に残る現金もゼロです。70万円の現金と、ゼロの現金。どちらが会社の未来にとって健全でしょうか?答えは明白です。節税とは、あくまで「事業に必要な支出」を正しく経費として計上することであり、節税のために不要な支出を増やすのは本末転倒なのです。■節税をするなら将来への投資となることをすべし上記の例は極端ですが、無駄遣いをしてまで経費を増やそうとすると、かえって会社の資金繰りを圧迫し、翌期の会社経営が大変なものとなってしまいます。では、どのように節税をすべきか?答えは、簡単です。将来の事業成長に役立つ支出をすることです。同じ支出でも、必要のない交際費を使うのか、将来売上が伸びることを期待して広告費を使うのか。将来の事業に役に立つ支出を計画的に行いましょう。■ 将来への投資はタイミングが重要決算間際になり、思ったより利益が出た経営者の方より「今から出来る節税はないか?」とよくご質問を頂きます。確かに決算が近づいていても実施できる節税はいくつかあります。ただ、選択肢は決して多くないですし、毎年同じ手段を使うことは出来ません。それではどうするのが良いかというと、事業年度が開始した月からその事業年度の計画を立てて、その計画に見合った節税を早い段階から行っていくことで、有効な将来への投資=健全な節税、を行うことができます。■ 「経費」とは何か?判断基準はたった一つでは、そもそも「経費」とは何でしょうか。税法上の考え方は大まかに申し上げれば「事業の売上を上げるために直接的、または間接的に必要な費用」となります。 しかし、これでは少し分かりにくいですね。もっとシンプルな判断基準があります。それは、「我々税理士、税務署の調査官だけではなく、貴社とは何の関係もない第三者に対して、この支出が事業のためであると合理的に説明できるか?」という一点です。事業と関係のあるのか、関係がないとは言えない経費なのか、その関連性の強さも大切です。時々、関係がないとは言い切れない、非常に関連性の薄い支出を経費と思われている方もおりますが、これは経費と認められないばかりか、将来の事業の成長が期待できない支出になります。そういった支出は避けたいものです。【最後に】初日は、経費の使い方、節税の正しい理解、経費とは何か?についてご紹介させて頂きました。次回からは具体的な節税の方法論についてご紹介していきたいと思います。