8月は比較的大きな税務・労務手続きの締切は少ないものの、9月からの社会保険料の改定に向けた「準備期間」となります。7月に提出した算定基礎届の結果が通知され、それに基づいて対応が必要になります。今回はこの準備作業を中心に、8月にやるべきことを詳しく解説していきます。1. 最重要!「標準報酬月額決定通知書」が届きます!7月に提出した「被保険者報酬月額算定基礎届」に基づいて、日本年金機構で審査・決定された新しい標準報酬月額が記載された「健康保険・厚生年金保険 被保険者標準報酬月額決定通知書」が、例年8月中旬から下旬にかけて会社に送付されてきます。この通知書には、従業員一人ひとりの9月から適用される新しい標準報酬月額と、それに基づく新しい社会保険料額(会社負担分・本人負担分)が記載されています。通知書が届いたら、必ず以下の点を確認しましょう:従業員ごとの新しい標準報酬月額: 7月に提出した算定基礎届の内容に基づいて、正しく決定されているか確認します。特に、届出時の計算と大きく異なる場合は、その理由を確認する必要があります(場合によっては年金事務所への問い合わせも検討)。適用開始月の確認: 新しい標準報酬月額の適用開始は「9月」からです。これは、9月分の社会保険料(通常は10月支払の給与から控除)から変更になることを意味します。算定基礎届の控えとの照合: 念のため、会社で保管している算定基礎届の控えと照合し、記載内容に不審な点がないか確認します。この通知書は、今後の給与計算における社会保険料控除の根拠となる非常に重要な書類です。大切に保管しましょう。2. 9月からの社会保険料改定に向けた準備を万全に!「標準報酬月額決定通知書」で確認した新しい標準報酬月額に基づいて、9月分の給与から徴収する健康保険料・厚生年金保険料が変更になります。そのための準備を8月中に行いましょう。8月中にやるべきこと:給与計算システムの設定変更: 従業員ごとに、新しい標準報酬月額を給与計算システムに正確に登録・更新します。 社会保険料率は、都道府県や加入している健康保険組合によって異なります。また、年度の途中で保険料率が改定されることもありますので、常に最新の保険料率を使用しているか確認し、必要であれば更新してください。従業員への周知(行うと丁寧です): 9月の給与から社会保険料の金額が変わる可能性があることを、事前に従業員へアナウンスしておくと、問い合わせが減りスムーズです。 給与明細に標準報酬月額や保険料額を記載している場合は、9月分の給与明細から新しい情報が反映されるように準備します。この準備を怠ると、誤った保険料を徴収してしまいます。言うまでもありませんが、給与は従業員の皆さんが働く最重要目的のうちの1つです。後日、従業員との間で過不足の精算が必要になったり、会社への不信感につながる可能性もあります。正確な設定変更を心がけましょう。まとめ:8月は「準備」と「確認」を確実に!8月は、9月からの社会保険料改定という重要な変更に向けた「準備」の月です。「標準報酬月額決定通知書」の内容をしっかりと「確認」し、給与計算システムへの反映などを間違いなく行うことが求められます。また、労働保険料の分割納付や毎月の源泉所得税納付といった定例業務も忘れずに処理しましょう。暑い日が続きますが、体調管理にも留意し、計画的に業務を進めていきましょう。次回は、「9月にやるべきこと」として、いよいよ改定された社会保険料での徴収開始について解説します。