5月はゴールデンウィークがあり、旅行に行かれたり、ゆっくり過ごされたり、少し実務を離れて自社の将来を構想する時間を持たれたりする時期ではないでしょうか?さて、5月は「住民税の特別徴収税額決定通知書」が市区町村から届き始める時期です。6月からの住民税の給与天引き(特別徴収)に向けて、正確な準備が求められます。今回はこの住民税の特別徴収を中心に、5月に対応すべき手続きを詳しく解説していきます。1. 最重要!「住民税特別徴収税額決定通知書」が届きます5月中旬頃から下旬にかけて、従業員がお住まいの各市区町村から、以下の2種類の「住民税特別徴収税額決定通知書」が会社に送られてきます。市区町村によって送付される時期はまちまちですが、概ね5月中に届くのが一般的です。特別徴収税額決定通知書(特別徴収義務者用): 会社(特別徴収義務者)が保管するもので、全従業員分の年税額と毎月の徴収額が一覧になっています。特別徴収税額決定通知書(納税義務者用): 従業員(納税義務者)一人ひとりに配布するもので、個人の税額や計算根拠が記載されています。届いたらまず確認すべきこと:従業員情報と税額の確認: 「特別徴収義務者用」の通知書で、従業員の氏名、住所、そして記載されている年税額と月割額に誤りがないか、前年中に提出した給与支払報告書の内容と照合しましょう。従業員への配布準備: 「納税義務者用」の通知書は、プライバシー保護の観点から糊付けされており、開かないと中は見れないようになっています。「これ、なんだろう?」と思わず反射的に開かないようにご注意頂き、各従業員へ速やかに配布してください。2. 住民税の徴収額:6月分と7月~翌年5月分の違いに注意!従業員の毎月の給与から天引きする住民税額ですが、実は徴収開始月である6月分だけ、7月以降の月と金額が異なるのが一般的です。これは、年間の住民税額を12ヶ月で割った際に生じる100円未満の端数を、最初の徴収月である6月分で調整するためです。したがって、6月分の徴収額が他の月(7月~翌年5月)よりも若干多くなることになります。7月から翌年5月までは、原則として毎月同額になります。一見すると同じような数字が並んでいるので分かりづらいのですが、よく見ると6月だけ異なることが往々にしてありますので、注意してください。3. 「1月1日以降」に入社した従業員の住民税はどうなる?住民税は、前年中の所得に対して、その年の1月1日現在に住所のあった市区町村で課税されます。 そのため、今年の1月1日以降に入社した従業員については、原則として会社に「特別徴収税額決定通知書」は届きません。この場合、その従業員の住民税は、前職で特別徴収が継続されていない限り、普通徴収(従業員本人が市区町村から送付される納税通知書で直接納付する方法)となります。新しく入社した従業員から住民税について質問があった場合は、この仕組みを説明できるようにしておくと良いでしょう。4. 普通徴収から特別徴収への切り替え手続き1月1日以降に入社した従業員や、それ以前から在籍していても何らかの理由で普通徴収になっている従業員について、本人の希望などにより年度の途中から特別徴収に切り替えたいケースも出てきます。その場合は、会社が「特別徴収切替届出(依頼)書」(自治体により名称が異なる場合があります)を作成し、該当従業員の1月1日現在の住所地の市区町村へ提出することで、特別徴収への切り替えが可能です。提出書類: 特別徴収切替届出(依頼)書提出先: 従業員の1月1日現在の住所地の市区町村手続きのタイミング: 原則として、切り替えを希望する月の前月10日頃まで(例えば7月から切り替えたい場合は6月10日頃まで)に提出するのが一般的です。ただし、市区町村によって締切日が異なる場合があるため、必ず事前に確認してください。特に、前月10日を過ぎていても市区町村によっては柔軟に対応してくださるところもあります。注意点: 土の市区町村でも共通して言えることですが、普通徴収の納期限が過ぎてしまった税額分は、特別徴収に切り替えることはできません。この点も切り替えを希望している従業員に説明をしましょう。5. その他5月の手続き住民税の準備と並行して、以下の手続きも進めましょう。自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)の納付: 4月1日時点の車両所有者に課税され、5月上旬に納税通知書が届きます。多くの自治体で5月31日が納付期限です。お早めの納付を心がけましょう。まとめ:5月は住民税特別徴収の準備を最優先に、その他も計画的に!5月は、従業員の住民税の特別徴収を6月から正しくスタートさせるための非常に重要な準備期間です。通知書の確認、徴収額の仕組みの理解、新規入社者への対応、そして必要に応じた切り替え手続きなど、丁寧かつ正確な処理を心がけましょう。あわせて、労働保険の年度更新準備や各種税金の納付も忘れずに行ってください。不明な点や困ったことがあれば、各市区町村の税務課や、顧問税理士、社会保険労務士などの専門家を上手く活用しましょう。