「自分が代表となって会社を経営したい!」「自分のカフェをオープンさせたい!」その想いを実現するためには、開業資金や運転資金といった「お金」の準備が不可欠です。特に初めて起業する方の大半が20代~40代の皆様ですが、軌道に乗るまでの事業資金を自己資金だけで賄うのは難しい場合も多く、そんな時に力強い味方となるのが「創業融資」です。今回は、創業融資の主な選択肢である日本政策金融公庫と民間銀行の融資制度について、それぞれの特徴やメリット・デメリット、そして融資を成功させるためのポイントを詳しく解説します。創業時に利用できる融資制度は、大きく分けて2つの窓口があります。日本政策金融公庫(国の銀行) 日本政策金融公庫は、100%政府出資の金融機関です。民間金融機関の取り組みを補完し、中小企業や小規模事業者、そして新たに事業を始める創業者への資金調達支援を積極的に行っています。創業者向けの代表的な融資制度として「新創業融資制度」などがあり、多くの起業家が活用しています。民間銀行(都市銀行、地方銀行、信用金庫など) 私たちが普段利用している都市銀行、地方銀行、信用金庫なども、創業者向けの融資制度を用意しています。創業融資の場合、「信用保証協会」が公的な保証人となる「信用保証協会付融資」が一般的です。これにより、創業まもない会社や個人事業主でも融資を受けやすくなっています。なお、信用保証協会を付けづに銀行が直接リスクを負って融資する「プロパー融資」もありますが、創業初期の利用はハードルが高く、滞りなく3年程度は返済を続けると将来的に活用できると思って頂くとよいかと思います。【メリット】日本政策金融公庫:融資の実行スピード日本政策金融公庫の創業融資における大きなメリットの一つが、融資実行までのスピード感です。一般的に、申し込みから着金までおよそ1ヶ月、早ければ2週間程度で完了するケースもあります。事業開始のタイミングを逃したくない創業者にとって、この迅速さは非常に魅力的です。その他にも、日本政策金融公庫の創業融資には以下のようなメリットが挙げられます。無担保・無保証の制度が充実: 担保や保証人なしで創業融資を受けられます。これは、新規事業にチャレンジする創業経営者にとって大きな安心材料となります。創業計画を重視した審査: 創業時は実績がありませんが、実績よりも事業の将来性や計画の妥当性が重視される傾向にあり、しっかりとした事業計画があれば、融資を受けられる可能性が高まります。【メリット】民間銀行:身近な相談相手としての長期的な関係構築と追加融資の可能性一方、民間銀行の創業融資には、以下のようなメリットがあります。長期的な取引関係の構築と追加融資の可能性: 融資取引をきっかけに、その後の事業拡大に伴う追加融資や、他社事例を紹介してもらえたり、地域の経営者を集めたコミュニティーイベントを開催していたり、経営をするために長期間にわたり効果的なサポートを用意している銀行も多くあります。また、初回の創業融資で良好な返済実績を築き、事業が順調に成長していれば、比較的短期間で追加の運転資金や設備投資資金の相談に応じてくれるケースも期待できます。 これは、事業の成長フェーズにおいて大きな強みとなるでしょう。複数の金融機関からの提案: 複数の銀行に相談することで、金利や融資条件などを比較検討し、より有利な条件を引き出せる可能性があります。自治体の制度融資との連携: 多くの民間銀行は、都道府県や市区町村が設けている「制度融資」の窓口となっています。これは、自治体が利子の一部を補助したり、信用保証料を補助したりするもので、創業者にとって有利な条件で融資を受けられる場合があります。一例では、弊事務所の所在する練馬区では、練馬区が金利の大半を負担してくれる制度により、1000万円までを金利0.2%で融資を受けられる制度もございました。では、日本政策金融公庫と民間銀行、どちらの創業融資を選ぶべきなのでしょうか。一概にどちらが良いとは言えず、ご自身の状況や優先順位によって最適な選択肢は異なります。日本政策金融公庫がおすすめのケース:→とにかくスピーディーに資金調達をしたい、→担保や保証人の提供は控えたい、→民間金融機関からの融資を断れてしまった、民間銀行がおすすめのケース:→融資後も継続的な経営サポートを期待したい→将来的な事業拡大を見据え、追加融資の可能性も視野に入れたい→自治体の制度融資を活用したい創業融資を成功させるための3つの重要ポイントどちらの金融機関を選ぶにしても、創業融資の審査を通過し、希望する条件で融資を受けるためには、以下の3つのポイントが非常に重要になります。綿密な「事業計画書」の作成: 事業計画書は、あなたの事業の設計図であり、金融機関に「この事業は順調に成長し、きちんと返済できる」と納得してもらうための最も重要な書類です。あなたの経歴がこの事業にどう活かせるか、どのような事業をおこなうのか、お客様はどのような方々なのか、他社と比べた自社の強み・可能性、収支計画などを具体的にだれが見ても分かりやすい内容で作成しましょう。客観的に説明が出来るデータなどがあるとより効果的です。「自己資金」の準備: 自己資金は、事業への本気度を示す指標の一つと見なされます。一般的に、創業資金総額の2割~3割程度の自己資金を用意することが望ましいとされています。以前は資本金が1000万円以上なければ株式会社を設立することが出来ませんでしたが、近年は元手となる資本金を1円でも会社は設立できます。しかし、融資を受けるのであれば、最低でも100万円はご用意いただくことをお勧めします。「専門家」への相談も有効: 税理士や中小企業診断士、経営コンサルタントなど、創業支援に詳しい専門家に相談することも有効な手段です。弊事務所でも創業融資のご相談は積極的にお受けしておりますので、お気軽にご相談ください。おわりに:創業融資にチャレンジしてみましょう!創業は、大きな夢と希望に満ち溢れていると同時に、多くの課題や不安も伴います。その中でも資金調達は、多くの創業者にとって最初の大きなハードルかもしれません。しかし、日本政策金融公庫や民間銀行の創業融資は、あなたの夢を力強く後押ししてくれる心強い制度です。それぞれの特徴をよく理解し、ご自身の状況に合わせて最適な選択をしてください。そして、何よりも大切なのは、説得力のある事業計画です。しっかりと情報を収集し、万全の体制で臨めば、融資はきっと成功します。あなたの挑戦を心から応援しています!