6月は、年に一度の「労働保険の年度更新」の手続きの時期です。また、5月に通知があった新しい税額での「住民税の特別徴収」がスタートする、非常に重要な月です。その他にも、賞与の支払いがあればその手続き、源泉所得税の納期の特例を受けている場合はその準備など、盛りだくさんです。1. 最重要!労働保険の年度更新(申告・納付期間:6月1日~7月10日)5月下旬から6月上旬にかけて労働局から申告書が届きます。こちらを活用して手続きを進めます。手続き期間:6月1日~7月10日らとなりますが、電子申請等は期間内であれば可能です。やるべきこと:申告書の作成: 5月下旬から6月上旬にかけて労働局から送付されている(または電子申請システム上で準備されている)申告書に、前年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の確定保険料と今年度の概算保険料を記入します。申告書の提出: 電子申請(e-Gov): 最も推奨される方法です。24時間いつでも申請可能で、移動や郵送の手間も省けます。 郵送: 管轄の労働局、労働基準監督署、または都道府県労働保険事務指導センターへ郵送します。最も基本的な提出方法を言えます。e-Govを利用した電子申請には、事前登録に1ヶ月程要しますので、労働局から書類が届いた時点でe-Govのアカウントをお持ちでない方は紙で郵送しつつ、来年に備えてe-Govのアカウントを取得しましょう。窓口持参: 上記の機関の窓口へ直接提出します。保険料の納付: 算定された保険料(確定保険料の過不足調整後の額と概算保険料の合計)を納付します。 口座振替: 事前に手続きしておけば自動で引き落とされます。最も便利な方法の一つです。 金融機関窓口: 納付書を使用して納付します。 電子納付(Pay-easyなど): インターネットバンキング等を利用して納付できます。重要ポイント: 申告・納付期限は7月10日厳守です。他の申請と比べると労働保険の年度更新は複雑です。7月の申告・納付期限間際に対応していては間に合わない可能性やミスの原因になります。納付が遅れると延滞金が課される場合がありますので、計画的に進めましょう。不明な点があれば、6月中に管轄の労働局や労働基準監督署に確認してください。2. 住民税の特別徴収、6月給与から新税額でスタート!5月に市区町村から届いた「特別徴収税額決定通知書」に基づき、いよいよ6月に支払う給与から、新しい年度(2025年度)の住民税額を天引きします。給与明細への正確な記載: 新しい住民税額を正確に給与明細に反映させてください。問い合わせへの備え: 特に前年度から税額が大きく変動し、手取り額が思わず減ってしまった従業員などから、計算根拠などについて問い合わせがあるかもしれません。説明できるようにしておくとスムーズです。3. 源泉所得税(上半期分)の納付準備(納期の特例を受けている場合)従業員数が常時9人以下の事業所で、「源泉所得税の納期の特例」の承認を受けている事業主の方は、1月~6月分として源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を、まとめて7月10日までに納付することになります。6月はその準備期間として、以下の作業を進めましょう。1月~6月分の源泉徴収税額の集計: 各月の給与や賞与、税理士報酬などから源泉徴収した税額を正確に集計します。納付書の準備: 税務署から送られてくる(または自身で作成する)「所得税徴収高計算書(納付書)」に必要な情報を記載します。なお、届出を出しておらずこの特例を受けていない場合や常時10名以上のメンバーいる場合には、原則通り、源泉徴収した月の翌月10日が納期限として、毎月の納付が必要となります。5. 予告編!社会保険「算定基礎届」の準備を始めましょう7月の最重要手続きである「算定基礎届」の提出(7月1日~7月10日)に向けて、6月から準備を始めておくとスムーズです。「算定基礎届」とは、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額(社会保険料の計算基礎となるもの)を、実際の報酬に基づいて毎年見直すための届出です。準備すべきこと: 4月、5月、6月に従業員へ支払った給与(基本給、諸手当など固定的賃金・非固定的賃金すべて)の金額と支払基礎日数を正確に把握しておきましょう。これらの月の報酬月額の平均を基に新しい標準報酬月額が決定されます。 詳細は次回の7月号で詳しく解説しますが、今のうちから賃金台帳の整備や確認を進めておくことを強くおすすめします。まとめ:6月は実務に追われる月!計画的な進行を!6月は、労働保険の年度更新を迎え、住民税の特別徴収も新しいサイクルに入ります。従業員を雇用し始めると急にこれらの業務が発生し始めてご負担に感じる経営者の方も少なくないのではないでしょうか?それぞれの締切日をしっかりと意識し、一つ一つの業務を確実にこなしていくことが大切です。創業期の経営者は多忙を極めますが、これらの手続きは従業員の信頼や法令遵守の観点からも疎かにできません。もしご自身での対応が難しいと感じる場合は、早めに税理士や社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。