11月は、従業員から年末調整に必要な書類を回収し、内容を精査し、年税額の計算を進めるという、正確さとスピードが求められる作業が続きます。今回は、この年末調整業務の本格化を中心に、11月にやるべきことを詳しく解説していきます。1. 最重要!年末調整 – 書類回収、チェック、計算作業を本格化!10月に従業員へ配布した年末調整関連の各種申告書(「扶養控除等申告書」「保険料控除申告書」「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」など)の回収が本格化する時期です。11月中に会社が行うべきこと:申告書の回収と提出促進: まだ提出していない従業員には、提出を促しましょう。回収期限を設け、計画的に進めることが重要です。記載内容のチェック: 回収した申告書は、一枚一枚丁寧に内容を確認します。 扶養控除等申告書: 扶養親族の所得要件や同居の有無、マイナンバーの記載などを確認。 保険料控除申告書: 支払った保険料の金額と、それを証明する控除証明書(生命保険料、地震保険料など)が正しく添付されているか確認。iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金なども対象です。 基礎控除申告書等: 本人の合計所得金額の見積額、配偶者の情報などが正しく記載されているか確認。 記入漏れ、計算誤り、添付書類の不備などがあれば、速やかに従業員に差し戻し、訂正・再提出を依頼します。年税額の計算作業の開始: 記載内容と添付書類のチェックが完了した従業員から、順次、年間の所得税額(年税額)の計算作業を開始します。 国税庁が提供する「年末調整計算シート」や、マネーフォワード社が提供する給与計算ソフト・年末調整ソフトなどを活用すると、計算誤りを減らし、効率的に作業を進められます。 計算結果に基づき、毎月の給与から源泉徴収してきた所得税額との過不足額を算出します。年末調整は、従業員の所得税を最終的に確定させる重要な手続きです。不明な点や判断に迷うケースがあれば、税務署や税理士に相談しながら進めるようにしましょう。目標は、12月の最終給与支払い時に、過不足額を正確に精算することです。2. 労働保険料の延納(分割納付)第3期分(最終)の納付(期限:12月1日)労働保険の年度更新(6月~7月)の際に、保険料の3回分割納付(延納)を選択した事業者の方は、いよいよ最終となる第3期分の納付期限が近づいています。納付期限:原則として11月30日 これで今年度の労働保険料の納付が完了となります。納付書に基づいて、期限までに忘れずに納付しましょう。3. 税務署から届く「年末調整のしかた」等の資料確認例年、この時期になると税務署から「年末調整のしかた」や「源泉徴収税額表」といった年末調整に関するパンフレットや用紙が送られてくることがあります(近年はe-Taxの普及に伴い、郵送される資料が減っている可能性もあります)。 国税庁のウェブサイトでも最新情報が公開されていますので、これらの資料に目を通し、改正点や注意事項を再確認しておくと、よりスムーズに年末調整業務を進めることができます。まとめ:12月に行っていては遅い!11月は年末調整業務のヤマ場!11月は、年末調整業務が本格化し、従業員から提出された書類のチェックや年税額の計算といった、細かく正確な作業が求められる月です。ここでしっかりと対応することが、12月のスムーズな税額精算につながります。 また、労働保険料の延納を選択している場合は、その最終納付も忘れずに行いましょう。寒さも増してきますので、体調管理に気を付けながら、計画的に業務を進めていきましょう。次回は、「12月にやるべきこと」として、年末調整の最終調整と精算、賞与の支払い、そして新年への準備などについて解説します。